ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019・女性活躍推進セミナー「女性が働きやすい職場づくりの極意」

5千人が来場するライフ・ワーク・バランスEXPO東京2019にて、女性活躍推進セミナーで登壇しました。定員60名、満席になりました。

同じ時間帯にメインステージでは、小室淑恵さん(株式会社ワークライフバランス代表取締役)と白河桃子さん(少子化ジャーナリスト)の対談が行われていました。私のミニセミナーはいわば裏番組で、こちらにお越しになっていただけで十分に有難かったです。

女性活躍のテーマで何度か講演セミナーを行ったことがあります。例えば、今回中野区の男女共同参画担当者が参加くださっていたのですが、「女性が輝く日本!」と政府が言い出した当時に中野区でワールドカフェを行い「男性こそ輝け!」みたいな話しになったこともありました。(→中野区ざっくばらんトーク2015のレポート

女性活躍について語るスピーカーは数多います。そのなかで、私が「女性活躍」を語る意味は何だろう?

思い至ったのは、「万華鏡」でした。万華鏡を回すと模様が次々と変化するように、様々な視点を提示することで「女性活躍」が新たな輝きをもつのではなかろうか。

女性が「女性活躍」を語ると、当事者からの発信になります。私の場合は当事者目線ではなく、客観的な視点から語ることになります。

目の前にある課題を顕微鏡的に捉えるのではなく、俯瞰的な見方をする。でも望遠鏡のように遠くを見るのではなく、身近にある問題を万華鏡のように凝視する。

「女性活躍推進」の見方を変えるのが私の役目。そう念じて講演に臨みました。

45分間の持ち時間で、27枚のスライドを用意しました。その内、8割を新規作成しました。

具体的には、4つの問いかけをした後に、私の見方を提示する流れで構成しました。

4つの問いは次のとおり。

  • 「そもそも、女性は活躍しているのでしょうか?」
  • 「女性が活躍できていないとしたら、阻害しているものは何でしょう?」
  • 「女性のリーダーが増えるとどうなるのでしょう?」
  • 「女性が働きやすい職場はどのような職場でしょう?」

このイベントは「ライフ・ワーク・バランスEXPO」です。小池都知事が「ワークよりもライフが先!」と述べたことで、以前は「ワーク・ライフ・バランスフェスタ」の名称だったのが変更になりました。

ライフ(家庭・地域社会)では十分すぎるほどに、女性は活躍しています。家事育児のほとんどは女性が担っています。PTAをはじめ地域のボランティア活動は、女性のパワーで成り立っています。

しかし、ワークの場面では十分に活躍できているとは言い難い。働く女性が増えて、職域が拡大しているとはいえ、女性の管理職は少ないのが現状です。

次の問いは「女性の活躍を阻害しているものは何?」です。

女性は仕事以外に家事労働の負担が大きく、仕事・育児・家事の三重苦(介護も入れば四重苦)です。

実のところ、女性活躍推進の鍵は「男性の意識変革」にあり。夫が家事育児をシェアし、イクボスが働き方を柔軟にすることで、女性は仕事でも頑張ってみようという気持ちになれるもの。

一方、女性自身にも阻害要因があります。「自信がない」という心の壁です。インポスター(詐欺師)症候群の話しも紹介しました。

三つ目の質問は「女性リーダーが増えるとどうなる?」。

女性はコミュニケーション能力が全般的に高く、感情のケアが得意です。女性の特性を活かし、部下の気持ちに配慮したマネジメントができる職場になるでしょう。女性の感性を生かした商品開発も生まれるにちがいありません。

でも、私が伝えたのは職場の変化ではありませんでした。

「女性のリーダーが増えると戦争や不祥事が減る」・・『女神的リーダーシップ』の研究成果を解説しました。

最近の企業や大学の不祥事、炎上CMをみていると、ほとんど全てといっていいほど、男性がやらかしてしまった感があります。これらやらかした経営陣やチームの意思決定者に、もし女性がいたら、きっと事件は起きなかっただろうと感じてしまいます。

最後の問いは「女性が働きやすい職場とは?」。このセミナーで最も伝えたかったのはここでした。

中原淳先生の本から引用です。

「女性が働きやすい職場は、誰もが働きやすい職場である」

本セミナーのタイトルは、「女性が働きやすい職場づくりの極意」でした。

極意といえるほどのノウハウではないかもしれませんが、次のスライドでポイントを伝えました。「心理的安全性」が鍵概念になると思うこの頃です。

「相手を理解するためのコミュニケーション」の一例として、イクボス研修でよく話すエピソードをスライドにしました。

女性の部下が上司を評価する基準

上司が「仕事がデキるかどうか」は関係ありません。

私の話しをさえぎらずに最後まで聞いてくれる上司が理想です。

私の状況や希望を理解し、私にふさわしい仕事を与え、励ましてくれる。そんな上司のためだったら、私はトコトンがんばることができます。

今回のセミナーは、新しいコンテンツで臨んだせいもあって、いつも以上に緊張しました。又、参加者が多様なため、話しの焦点が絞りにくく、難易度が高い講演会でした。

参加してくれた友人に感想を聞きました。話し合いの時間が刺激的で有意義だったとのこと。4つの問いかけをした後に、2分ほど近くの方同士で意見交換をしてもらう時間をとっていたのでした。

話し合った内容を聞くと結構深くて、さすが問題意識をもった方々が参加されていたと感じ入りました。

参加されたみなさんの意識が高かったおかげで、手応えのある講演ができました。感謝です。