労使会議「心理的安全性の高い職場のつくり方」

某産別組合の労使会議(企業の人事部門と労働組合執行部の合同会議)の勉強会で、「心理的安全性」について解説しました。レクチャー70分+質疑応答で、中身の濃いセミナーができました。

私が「心理的安全性」のワードと初めて出会ったのは、ピョートル・グジバチさんの著書『世界最高のチーム』でグーグルの取り組みを知ったときです。私がテーマとする「自分らしくいきいきと働く」を実現するにあたり、心理的安全性は重要な概念になると直感しました。

そこで、心理的安全性を提唱されたエドモンドソン教授の著書や論文を読んで理解を深めました。2020年頃から心理的安全性を噛み砕いて解説する書籍が出版されるようになり、心理的安全性が世に知られていくのを実感しました。

私は連合の女性リーダー養成講座と男性リーダー講座を担当しており、2018年から心理的安全性をトピックに出したところ参加者の食いつきがよく、組合活動と心理的安全性の親和性が非常に高いと分かりました。

そこで、翌年以降から心理的安全性をメインとした内容でセミナーを行うようになり、その講座に参加された方から「我が社でも心理的安全性の話をしてほしい」と依頼されることがあります。今回もその流れでオファーをいただきました。

組合のセミナーではグループワークを主体に進めています。今回は人事部門の方も参加される勉強会のため、心理的安全性が広まった経緯や事例などの解説をメインとし、講演スライドを一新して臨みました。

今回のセミナー準備で心理的安全性について勉強をし直して、自分自身も実践して改めて思ったのは、心理的安全性は受け手側の態度が重要で「聴く耳」をもつことが肝であること。受け手が肯定的な態度だと発言しやすいが、否定的だったり無関心な態度をされると話したい意欲が減退して、言うべき意見を口にしなくなる。

対話する文化を職場で醸成することが、心理的安全性の実効性に関わります。

ただ、心理的安全性は概念にすぎず、心理的安全性を実現すること自体はゴールではありません。組織で達成したい目標があり、そのための手段として心理的安全性の高い対話するチームづくりがあります。目標を達成するためにメンバーの協力やアイデアが欠かせないのであれば、心理的安全性は必須要件です。

逆にいえば、権力勾配が大きい組織で、上位下達を善しとし、部下には謙虚さを求める風土の職場で心理的安全性を作ることはできません。昔の日本企業は、こうした風土の職場が大半だったと思います。学校でも先生が専制的な学級運営をすると、生徒の私語がなくて落ち着いた風にみえて、内実は心理的安全性のないクラスになります。

今回、新しいコンテンツで心理的安全性のレクチャーをおこない、参加者の方々に満足度の高い勉強会になったと思います。懇親会に誘っていただき、組合幹部の方から「これまでの労使会議のなかで一番分かりやすかった」と講評をいただいたのがうれしかったです。アフターでも皆さんと意見交換できて有意義でした。

会場は大阪で、帰りの新幹線で中原淳先生の最新刊『話し合いの作法』を読みました。心理的安全性についても多く紙面を割かれており、もっと早く読むべきだったと反省。

昨今の大学をぜひのぞいてみてください。これらの学びの場では、学生が4〜5人のチームやグループを組んで課題解決や探究をおこなっていますが、そこでは一定の割合で、「一見、仲がよいけれど、心理的安全性は保たれていない」グループが散見されるはずです。

また、これは多くの職場においても当てはまることのように思います。むしろ、長期雇用の慣行が支配するこの国では、同じオフィスで、いつものメンバーと、仕事の現場において長い時間を過ごさなくてはならないので、事態はより深刻かもしれません。

仕事の現場においても、一見、仲が良さそうにも見えるけれども、本質的な課題については意見を言わないようにする、といったことが横行します。日本の教育現場でも、オフィスでも、必ずしも集団内部で心理的安全性が確保できているとは言えないのです。

しかし、心理的安全性は、話し合いのための基礎的資源です。話し合いでは、その過程において、話し合いのテーマに対して、お互いに自分の意見を表明する必要があります。お互いに、相手の意見や考えに対してリスペクトを持ちつつ、意見を表明しあうことが重要です。
よって、同調行動への圧力が強く、心理的安全性が低い日本では、話し合いをうまく進めることに困難を感じる人が少なくないのです。

中原淳『話し合いの作法』PHPビジネス新書、P46-47

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